
インフルエンザとかコロナウイルスには効く?
こんな疑問に薬剤師が答えます。
本記事ではエタノールの違いや、コロナウイルスには効くのか等を解説しています。
目次
アルコールとエタノールの違いは?
結論を言うとアルコールとエタノールは同じです。
簡単に説明するとアルコールというのは総称です。
アルコールのひとつとしてエタノールやメタノールなどが含まれます。
エタノールの効果は?
エタノールの効果は以下の通りです。
手指・皮膚の消毒、手術部位(手術野)の皮膚の消毒、医療機器の消毒。
エタノールはインフルエンザの予防に効果はあるの?
効果あります。
参考として、健栄製薬の消毒剤マニュアルにも記載があります。
記載箇所はP7の「抗微生物スペクトルによる分類」の表で、エタノールがウイルス(エンベロープあり)に有効と記載があります。

エンベロープというのは簡単にいうとウイルスを覆う膜です。
この膜がアルコールに弱く、膜を破壊し、ウイルスにダメージを与えます。
エタノールは新型コロナウイルスの予防に効果はあるの?
効果あります。
新型コロナウイルスもインフルエンザと同様にエンベロープをもつウイルスです。
そのため、エタノールによって膜を破壊し、ウイルスにダメージを与えます。
感染拡大予防のためにも、日ごろのこまめな消毒が必要ということが分かります。
同じエタノールなのに違いがある?
同じエタノールという名前がついていても濃度が違います。
それぞれの濃度比較したものが以下の通りです。
【 無水エタノール:99.5% 】
【 消毒用エタノール:76.9%~81.4% 】
【 消毒用エタノールIP:76.9%~81.4%+イソプロパノール(IP) 】
三種類のエタノールのなかで一般的に殺菌効果が高いものは『消毒用エタノール』といわれています。


よく病院やスーパーの入り口とかにアルコールを手にシュッとかけるやつ置いてあるのを見かけると思います。
アルコールで手が濡れるのに吹きとる紙が一緒においてませんよね?
それは手になじませてもアルコール成分が蒸発し乾いてしまうため、必要ないからです。
この乾く速さが濃度の違いに関係してきます。
濃度が高いほど揮発する(乾く)速さが上がります。
そのため濃度の高い無水エタノールは消毒される前に乾ききってしまうことがあるため、消毒には向いていないといわれています。
一方で消毒用エタノールのように適切に薄まっているものはなじみもよく消毒効果が期待できます。
消毒用エタノールの効果的な使い方って?
消毒用エタノールは、無水エタノールよりも少し薄まって消毒に適した濃度になっています。
なので、帰宅して手洗い・うがいしてからアルコール消毒をする際は、手洗い・うがい後は手をしっかり拭くことが大事です。
水分が手に残ったまま消毒用エタノールをつけるとさらに薄まってしまい、十分な効果が期待できません。
ポイント
”乾いた手”に消毒用エタノールをなじませる
以下の記事で消毒用エタノールの作り方を解説していますのでよろしければご参照ください。
関連記事消毒用エタノールの作り方
消毒用エタノールIPのIP(イソプロパノール)って何?
まずエタノールとIP(イソプロパノール)のメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット | |
エタノール | 手荒れしにくい | 酒税がかかるため高価 |
IP(イソプロパノール) | 酒税がかからないため安価 | 手荒れしやすい |
酒税とは?って思った方がいるかもしれませんので簡単に説明します。
エタノール自体は普段飲まれるお酒の成分と同じなので酒税というものが加わります。
しかし、IP(イソプロパノール)はエタノールより毒性が高く、お酒のように飲用には用いられないため、酒税がかかりません。
そのため、飲用でないものが混ざることで酒税がかからなくなり、その分安くなるのです。
IP(イソプロパノール)はエタノールとほとんど同等の消毒効果を示すので、入っていたほうが安くもなるので消費者側にはメリットですね。
しかし、併せてデメリットもあるのがIP(イソプロパノール)です。
IP(イソプロパノール)は脱脂性が強く、手荒れの原因となってしまうことがあります。
効果自体はほぼ同等なので酒税を含む値段の高い『消毒用エタノール』をとるか、イソプロパノールが配合により酒税がかからない分値段の安い『消毒用エタノールIP』をとるかは好みで選んでしまって問題ありません。
以上がエタノールの違いについての記事でした。
読んでいただきありがとうございました。
他にももしも気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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