
ヒルマイルドって顔にも塗れる?
このような悩みに薬剤師が答えます。
本記事ではヒルドイドの使い方だけではなく、保湿に最も効果的な使い方まで紹介しています。
個人的な見解ではなく、論文等を参考に紹介していますのでぜひご覧ください。
本記事の内容
ヒルマイルドの使い方
ヒルマイルドは顔にも使用できるか
ヒルマイルドの効果的な塗り方(論文参照)
目次
ヒルマイルドとは
まずヒルマイルドがなにか分からないという方のために紹介します。
ヒルマイルドは乾燥肌の治療薬
ヒルマイルドは乾燥肌のための薬で、効能効果は下記の通りです。
手指の荒れ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛。
引用:ヒルマイルド 効能効果
ヒルマイルドに含まれるヘパリン類似物質
ヒルマイルドに含まれる成分は、医療用のヒルドイドと同じ「ヘパリン類似物質」です。
関連記事ヒルマイルドとヒルドイドの違い
ヘパリン類似物質とは、乾燥肌の治療薬として長年使用されている保湿成分です。
「保湿」だけでなく、「血行促進」「抗炎症作用」といった働きもあります。
ヘパリン類似物質成分が肌内部の角質層に水分を付与して保湿効果を発揮し、肌の乾燥や炎症、肌荒れなどの改善に働きかけます。
ヒルマイルドと同じ成分、効能効果で、価格の安いヒケロインクリームに関する記事はこちら⇩
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ヒルマイルドの使い方
ヒルマイルドでもクリームタイプとローションタイプが発売されています。
それぞれの簡単な使い分けから解説していきます。
クリームとローションの使い分け
クリーム
ヒルマイルドクリームは粘度が高く、乾燥が気になる場所にピンポイントで塗り込むことができます。
ローション
ヒルマイルドローションは比較的べとづきが少なく伸びが良いため、広範囲に使用するのに適しています。
クリームとローションの塗る量
クリーム
クリームでは、大人の人差し指の先から第一関節までで約0.5gに相当します。
※指先から第一関節までを1FTU(1フィンガーチップユニット)といいます。
1FTU(約0.5g)で成人の手のひら分約二枚分の面積に塗ることができます。
ローション
ローションでは、手のひらに1円玉大の大きさの量が約0.5gに相当します。
1円玉大の大きさの量で成人の手のひら分約二枚分の面積に塗ることができます。
塗る回数
ヒルマイルドの添付文書では1日1~数回と記載があります。
※医療用のヒルドイドも同様
1日1回よりは2回以上が有効というデータが出ています。
そのため、効果を高めるためには1日2回以上は塗ることをオススメします。
詳しくは本記事で後ほど論文と併せて解説します。
ヒルマイルドの顔への使い方
顔にも使えますが、使い方に注意が必要です。
メーカー公式サイトにも以下のように記載されています。
顔にもご使用いただけます。ただ、顔面に使用する場合は、目に入らないように注意してください。万一、目に入った場合には、すぐに水又はぬるま湯で洗ってください。なお、症状が重い場合には、眼科医の診療を受けてください。
上記の通り、顔にも使用できますが目に入らないようにするのはもちろん、目や目の周囲、粘膜には使用しないようご注意ください。
また、きず、やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱりのある顔面には使用しないようご注意ください。
ヒルマイルドの効果的な使い方
上述した内容と被りますが、効果的な使い方を論文を参考に解説していきます。
塗る回数と塗るタイミング、薄めて使っていいかを解説していきます。
塗る回数
保湿剤を塗る回数は1日1回よりも1日2回(朝・夕)の方が保湿に効果的であると示唆されています。
<参考文献>
大谷 真理子、大谷 道輝、野澤 茜、松元 美香、山村 喜一、小茂田 昌代、江藤 隆史:保湿剤の効果に及ぼす塗布量および塗布回数の検討、2012;122:39-43
塗るタイミング
40°C、20分間入浴の1分後と1時間後にヘパリン類似物質含有製剤を2週間塗布し、角層中水分量を前後に測定。
その結果、角層中水分量は入浴の1分後と1時間後の間に有意差は認められなかったという報告です。
つまり、お風呂上りはすぐ塗らなきゃいけないというわけでもなく(当然早いに越したことはないかと思います)、塗るのを怠らないことことが大切です。
<参考文献>
野澤 茜、大谷 道輝、松元 美香、大谷 真理子、山村 喜一、成谷 さやか、杉浦 宗敏、内野 克喜、江藤 隆史:保湿剤の効果に及ぼす入浴と塗布時期の関係、2011;121:1421-1426
薄めて使っていいか
少し医療系のお話しになりますが、よく皮膚科などでヒルドイド(ヘパリン類似物質)単体で出される場合や、ワセリン等で混合されて出されることがあります。
混合するということはヘパリン類似物質を薄めて使うということになります。
薄めた場合の保湿効果について以下のような報告があります。
ヒルドイド単独の電気伝導度増加量は、プロペトによる 2 倍及び 4 倍希釈に対し、塗布1日後から最終の14日後までのすべての測定日において有意な差が認められたと報告されています。
※プロペトとは白色ワセリンよりさらに純正度が高い物です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
以上のことから、安易に希釈すべきでないことが分かります。
もしもヒルマイルドを使う際、化粧水や水で濡れている顔に塗っているのであれば、ヘパリン類似物質による保湿効力は低下しているかもしれません。
結論、何かと混ぜ合わせたりするより単体で使う方がより保湿に繋がることが期待できます。
<参考文献>
眞部 遥香、野澤 茜、松元 美香、大谷 道輝:ヘパリン類似物質製剤の希釈に関する保湿効果の検討、2017;137:6:p.763-766
ヒルマイルドの使い方:まとめ
本記事での一番のヒルマイルドの使い方のポイントは以下の通りです。
ポイント
- クリームタイプ:成人の人差し指の先から第一関節までの量で、手のひら約二枚分の範囲に塗れます。
- ローションタイプ:手のひらに1円玉大の大きさの量で、手のひら約二枚分の範囲に塗れます。
- 一日二回以上は塗る
- お風呂上りに遅くとも1時間以内に塗る
- 顔にも塗れるが目や目周囲、粘膜部位は避ける
以上がヒルマイルドの使い方についての記事でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
なにか気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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本記事はあくまでも合併症等もなく、心身ともに健康な状態である方向けの内容になっています。