
布マスクとサージカルマスクで予防効果は違うの?
キッチンペーパーマスクはどうなの?
こんな疑問にお応えしていきます。
結論からいうと、医療従事者でない方はしないよりはマシ程度です。
医療現場等、必要不可欠なところへの供給のためにも、布マスク使用は意味はあります。
これらの理由を、とある研究結果やWHO等の公言をもとに解説しています。
目次
布マスク以前にそもそもマスクの効果とは
既に「マスクは意味ない?」という記事で書いていますが、マスクは感染者や感染者の近くにいる人が感染を拡大させないために使うと良いとされています。
新型コロナウルスが流行ってる2020年4月現在、WHOやCDCでも症状のない人(病気の人の世話をしてる人は除く)はマスクは必要ないと公表されています。
マスク不足な今、本当に感染予防すべき環境にいる人たちのもとへ少しでも多く届けたいためでもあります。
実際にCDC公式サイトにて、病気の人をケアしてないならマスクは着用する必要ないと公表されている文言です↓
If you are NOT sick: You do not need to wear a facemask unless you are caring for someone who is sick (and they are not able to wear a facemask). Facemasks may be in short supply and they should be saved for caregivers.
布マスクは効果ない?
布マスクは効果がないのではと疑問視される研究
医療従事者が医療用マスクをつける群、布マスクをつける群、コントロール群(普段通りの群)で、合計1607名を対象に行われた研究です。
呼吸器感染症への暴露リスクの高い環境(病院)で行われました。
※布製マスクは調査期間中、毎日取り換えることはせず、石鹸で洗って再利用しています。
結果として、「布マスク群」が最も多くの呼吸器疾患やインフルエンザ様症状等を引き起こしました。
コントロール群(マスクを着用するという縛りがないためコンプライアンスが悪め)に比べ、布マスクを着用し続けた方が感染のリスクが高いことは、布マスクに良い印象を与えません。
また、一般の方ではなく、マスクを使う頻度の高い医療従事者が使用していてこのような結果となったことから、一般の方が布マスクを使うことはさらに感染のリスクが高いことが考えられます。
しかし、マスクが当たり前のような日本とは環境が違うこともありますし、コントロール群に関してはマスクを付けない縛りをしたわけでもないので、研究で差を付けるのであれば付けない群を設けるべきではなかったのかなと思ってしまいます。(※あくまでも個人の意見です)
【参考文献】
C Raina MacIntyre, Holly Seale, Tham Chi Dung, Nguyen Tran Hien, Phan Thi Nga, Abrar Ahmad Chughtai, Bayzidur Rahman, Dominic E Dwyer, Quanyi Wang, BMJ Open, 5 (4), e006577 2015 Apr 22
A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25903751/
最高峰マスク
WHOは布マスクを推奨?非推奨?
非推奨の意見
WHOが2020年3月19日に公表したマスクの使用に関するアドバイス(医療従事者向け)で、次のように述べています。
Cloth (e.g. cotton or gauze) masks are not recommended under any circumstances.
布マスク(例えばコットンやガーゼ)は、どのような状況でも勧めないと公表されています。
推奨の意見
WHOによるタイの状況レポートには以下のような文章があります。
• If unwell, wear a cloth or paper mask. Do not use N95 respirators as supplies are limited and they are critically needed for healthcare workers.
引用:Coronavirus disease 2019 (COVID-19) WHO Thailand Situation Report – 26 March 2020
体調が悪い場合は、布または紙のマスクを着用してください。とあります。
理由として、医療従事者にとって非常に必要なN95マスクは供給が限られているためとのこと。
これらの見解から、現状布マスクを使うことは、本当に必要な医療現場にサージカルマスクやN95マスクを行き渡らせるためにも大切であるということが汲み取れます。
CDCは布マスクを推奨?非推奨?
医療従事者には非推奨
CDCではコロナ関連でマスクが利用できない場合について、医療従事者向けに以下のように述べられています。
In settings where facemasks are not available, HCP might use homemade masks (e.g., bandana, scarf) for care of patients with COVID-19 as a last resort.
マスクが使用できない状況では、医療従事者は最後の手段としてコロナ患者のケアに自家製マスク(バンダナ、スカーフなど)を使用するかもしれないとのことです。
ないよりはあってもいいという風に汲み取ることができます。
ただし、医療従事者向けに述べられているため、一般の方は対象となりません。
一般の方には推奨
布マスクを最後の手段としてとらえているのは医療従事者向けの意見であり、一般の方向けには以下のように公言されています。
CDC recommends wearing cloth face coverings in public settings where other social distancing measures are difficult to maintain (e.g., grocery stores and pharmacies) especially in areas of significant community-based transmission.
特の感染が著しい地域では、社会的距離(約2メートル)を維持することが困難な公共の場(食料品店や薬局など)で布製のカバーを着用することを推奨すると公言されています。
外部からのウイルスの侵入は防げませんが、内部(着用者)からのくしゃみなどによる飛沫は多少なりとも抑えられることから、このように公言されているのではないかと察せます。
結局布マスクはどうなのか?
筆者の結論にはなりますが、記事最後のまとめで解説しています。
よろしければ最後までご覧ください。
キッチンペーパーマスクは効果ある?
一時期キッチンペーパーでマスクを作るというのが話題にあがりました。
当方ドラッグストア店員ですが、話題になった時はキッチンペーパーさえも品薄になりました。
(※今も品薄状態ですが徐々にマシにはなってます。)
キッチンペーパーでの作り方は、NHKの「キッチンペーパーで簡易マスクをつくろう」をご覧ください。
なかにはキッチンペーパーがガーゼよりも網目は小さいものなのか気になる方もいるかと思います。
そこで、ガーゼとキッチンペーパーの拡大写真が投稿されているのをTwitter上で見つけたため、共有します。
まず、ガーゼです。
布マスクがどんなにザルかわかっていただくために、布マスクによく使われるガーゼを拡大して撮影してみました。IPhoneのマクロレンズ撮影です。虫眼鏡で拡大する倍率でこの程度のザルです。次にツイートに載せるキッチンペーパーの写真と比べてください。 pic.twitter.com/FAUTzGuMgr
— Tetsukazu Yahara (@TetYahara) March 26, 2020
次にキッチンペーパーです。
こちらがキッチンペーパーです。繊維の隙間が見えません。紙漉きをすれば実感できますが、紙は細かな繊維を絡み合わせて作られます。布は縦糸と横糸を編むことで作られるので、糸の間に網目が開いています。かなりキメが細かい布でも、網目は飛沫粒子を通してしまうサイズです。 pic.twitter.com/DTkawu0fVk
— Tetsukazu Yahara (@TetYahara) March 26, 2020
このように比較すると、違いがはっきり分かります。
この違いからもキッチンペーパーマスクの方が飛沫を防ぐ効果は物理的に高いように思えます。
ですが、一見抜け穴がなさそうでも、ウイルスは目に見えないほどの小ささなので、見えない隙間を通ってしまいます。
これは残念ながら実はサージカルマスクでも同様のことが言えます。
ウイルスのサイズやサージカルマスクの選び方など以下の記事で解説しています。
-
-
【マスクの正しい付け方と外し方】マスクの種類と着用方法を解説
続きを見る
結局マスク自体意味がないのか?というと、そうとも言えません。
その理由は以下の記事で解説しています。(あくまでもデータを基にした憶測ではありますが…)
-
-
【マスクは意味ない?】予防効果が本当に期待できないエビデンスはある?
続きを見る
まとめ:布マスク、キッチンペーパーは効果ない?
ここからはあくまでも筆者の意見になってしまうのでご理解ください。
布マスク(ガーゼ)は網目も広く浸透性が高いため、オススメ!とまでは言い難いです。
ですが、マスクが必要不可欠な医療機関等に行き渡らせるためにも、布マスク使用は避けられなくなってくるかと思います。
使うとしてもプラスで不織布などのようなフィルターを間に挟むなどの対策をすると、よりよいかもしれません。
布マスク(ガーゼ)を再利用するとなると衛生面の問題も考えられるので、キッチンペーパーマスクの方がまだ良いのではないかという見解もあります。
キッチンペーパーマスクは作るのが手間ですが、メリットとしては費用もそこまでかからず、毎回取り換えられます。
また、NHKや警視庁も作り方に関する情報提供をしていることから、安心感もあるかと思います。
マスク自体をしないよりはしたほうがイイ理由もあるため、手作りして感染対策を試みてはいかがでしょうか?
ちなみに、キッチンペーパーマスクを使った研究や報告等はいまのところ見つかってません。(今後されるのかもわかりませんが…)
もしもなにか報告があがれば、随時更新していきます。
以上が布マスクは効果ない?についての記事でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
なにか気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。
コロナ対策:消毒液はつくれます↓
関連記事消毒用エタノールの作り方
関連記事次亜塩素酸ナトリウム液の作り方